銘柄研究

ジョンソン&ジョンソン(JNJ)がタルク訴訟で和解、89億ドルが与える業績への影響は?

ジョンソン&ジョンソン(JNJ)が現地時間の4月4日、子会社のLTL Management LLCがJNJおよび北米の関連会社のベビーパウダー等の製品に含まれるタルクがガンやアスベスト中毒などの病気に関係していると主張する数千件の訴訟を解決するため、25年間で現在価値で最大89億ドルを支払うと発表しました。

LTLはまた6万人以上の現在の請求者から、今回の新しい和解条件を支持するとの約束が得られた、としています。

ジョンソン&ジョンソンにとってタルク訴訟は目の上のたんこぶというか、株価上昇の重しとなっていたわけですがこれでようやく解決のめどが立ったと言えます。

ちなみに今回の発表翌日の株価が4.5%上昇したことでもそのことがわかります。

尚、89億ドルが決算に与える影響ですが、当方の前期決算ベースでの勝手計算によれば1株あたり-3.3ドル程度になる見込み。

前期2022年の1株利益(会計基準ベース)が6.73ドルでしたから仮に前期に発生していれば利益が半減したことになります。

但し、アナリスト・投資家が注目するのは特殊要因を除いた調整後の1株利益であり、今回の和解費用はまさに特殊要因に当たるわけで調整後1株利益からは除外されることになります。

一方財務面ですが、実は89億ドルという(日本円換算で1兆円を超える)今回の支払いですが、実際に支払う金額は89億ドルではありません。

上記文章にあるとおり現在価値で最大89億であり、即時に支払えば89億ドルですがこれを25年に渡って支払う場合、実際には約120億ドル程度になる見込みであるとしています。

但し、25年でのいわゆる分割払いとなるわけで財務上に与える影響は軽微と言えます。

ということで、投資家にとってはグッドニュースだったわけですが、この銘柄の場合投資家にとってはもう一つ懸案事項がある。

それが新会社名を「Kenvue(ケンビュー)」として上場する予定の消費者向け(コンシューマーヘルス)部門の年内のスピンオフ。

今回の消費者向け部門のスピンオフの理由はその成長性の遅さ、つまり今後売上の伸びには期待できないことにあるわけですが、直近の四半期では、その消費者向け部門が増収だった一方、主力の処方薬部門は減収に終わっています。

ちなみにジョンソン&ジョンソンは2025年に処方薬部門の売上高が600億ドルに達するとの見通しを示していますが、アナリストは懐疑的な見方とのこと。

当方としてはまずは新生ジョンソン&ジョンソンがこれまでどおり配当(増配)重視の姿勢を維持するのか、そしてケンビューについては分離後の株価、さらには最初の決算発表の内容を見てからケンビュー売却の判断をしたいと考えているところです。

(スピンを控えている銘柄への投資にあたってはくれぐれも自己責任でお願いいたします。)

よろしければ応援クリックお願いします。
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です