日経新聞が9月26日、「米連邦議会が半導体の国内生産を促すため、新たに250億ドル(約2兆6000億円)規模の補助金を投じる検討に入った。」と報じました。
巨額の公的支援で中国に対抗し、米大手の開発力を底上げする。
とのこと。
もちろんその背景には、半導体生産の海外依存への危機感があります。
このまま半導体生産の海外依存を放置すれば、競争力が低下するだけでなく安全保障や軍事力にも影響を及ぼしかねない、との警戒感があることは間違いありません。
インテル(INTC)が微細化技術でライバルのアドバンテスト・マイクロ・デバイセズ(MD)に後れを取っており、7ナノ技術のチップの販売が2022年末ないし23年の早い段階になると述べ、予定より1年遅れになる見通しを公表したことは以前にも書きました。
これにより今後シェアを減らすのは確実と考えていたのですが、今回の補助金の発表で巻き返しのチャンスがありそうです。
その一番の理由がAMDは自社工場を持たないファブレス企業だから。
もちろん今回の補助金の支給対象は、研究施設建設も含まれておりAMDもその恩恵を受けるわけですが、異例だったのは工場建設もその対象となっていること。
報道によればWTOのルール違反を回避するために台湾のTSMCなど海外企業が米国で生産する場合にも対象に含める方針となっているものの、補助金の目的を考えれば自国企業を優先することは間違いないでしょう。
と書くと、
「いやいや、確かにAMDはファブレス企業だけど、その生産は米国企業のグローバルファウンドリーズに委託しているはず、つまりグローバルファウンドリーズだってインテル同様恩恵を受けるわけで、インテルだけに追い風が吹くわけじゃないでしょ。」
って突っ込まれそう。
確かにAMDはグローバルファウンドリーズに生産委託していますが、実は7ナノプロセスのチップを生産しているのはグローバルファウンドリーズではなく台湾企業であるTSMCなのです。
これが今回のニュースが特にインテルに追い風、と書いた理由。
実は7ナノ技術のチップの販売遅れ発表時、インテルは外部への生産委託拡大を検討する方針を示しました。
個人的にはインテルは製造を委託しているAMDとは違い、開発と製造の両方の機能を社内に持っており、これがある意味インテルの強みともなっている、この強みを放棄してしまうことになるのでは?
と危惧していましたが、今回のニュースで希望の光が見えて来たのでは?
と思っています。
何はともあれ今後も状況を注視していきたいと考えているところです。
(先端技術で後れを取った銘柄への投資にあたってはくれぐれも自己責任でお願いいたします。)
よろしければ応援クリックお願いします。
にほんブログ村