銘柄研究

クラフト・ハインツが公表した2社上場企業への分割計画案 が微妙な理由

現地時間の8月30日に食品大手のクラフト・ハインツ(KHC)が不振事業切り離しで再建を図るため会社分割を検討している。との報道があったわけですが、現地時間の9月2日、2社上場企業への分割計画案を公表しました。

ポイントは以下のとおり。

・分割後の2社の社名は後日決定される。

・1社「グローバル・ティスト・エレベーション・カンパニー」は、 ハインツ(ケチャップ)、フィラデルフィア(クリームチーズ)、クラフト・マック&チーズの3つの10億ドルブランドを擁し、調味料やインスタント食品を手掛ける。

2024年の売上高は約154億ドル、調整後EBITDAは約40億ドルを見込んでいる。売上高の約75%をソース、スプレッド、調味料が占める。

EBITDAとは

Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortizationの略で、税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて算出される利益を指します。

国によって金利水準、税率、減価償却方法などが違うため、国際的企業の収益力は一概に比較することはできません。

その点、EBITDAはその違いを最小限に抑えて利益の額を表すことを目的としていますから、国際的な企業、あるいは設備投資が多く減価償却負担の高い企業などの収益力を比較・分析する際にしばしば用いられます。

(SMBC日興証券)

・もう1社「ノース・アメリカン・グロッサリー・カンパニー」は、オスカー・マイヤー(ホットドッグ)、クラフト・シングルズ(スライスチーズ)、ランチャブルズ(軽食パック)といった3つの10億ドルブランドを含む北米の主要食料品を幅広く取り揃えた企業。

2024年の売上高は約104億ドル、調整後EBITDAは約23億ドルを見込んでいる。売上高の約75%は、それぞれのカテゴリーで1位または2位のブランドからなる。

・全体として、現在の配当水準は維持される見込み。

・今回の分割は、クラフト・ハインツの能力とブランドを最大限に活用しつつ、複雑さを軽減し、両社がそれぞれの戦略的優先事項に資源をより効果的に配分することを目指している。

・この取引が2026年後半に完了すると見込んでいる。

今回の分割は、ノース・アメリカン・グローサリー・カンパニーとなる成長の鈍い事業を切り離すことで、好調な製品にさらなる成長の余地を与えるほか、経営陣がそれぞれの事業の拡大に一段と集中できるようにすることが狙いのようですが、なんのことはない単純に二つに分けただけのような。

そしてそれぞれの会社の調整後EBITDAベースの利益率は「グローバル・ティスト・エレベーション・カンパニー」が、26%、「ノース・アメリカン・グローサリー・カンパニー」が22%とそれほど大きな差がないというのも疑問。

正直存続会社となるであろう販売が比較的堅調なケチャップなど調味料を中心とした会社、すなわち「グローバル・ティスト・エレベーション・カンパニー」の方がはるかに利益率が高くなると思っていた。

ここからは推測となりますが、インスタント食品事業が含まれていることが影響しているのか?

もしそうなのであれば、純粋に調味料を中心とした会社とした方が良いのでは?

尚、バフェット氏は今回の会社分割計画に「クラフト・ハインツを2社に分割しても問題は解決しない。との考えを示し失望を表明したようですが、十分納得できます。

ということで、存続会社が優良事業である純粋に調味料を中心とした会社であれば投資対象として考えてもよかったのですが、正直現段階では食指は動きません。

(「現在の配当水準は維持される。」という情報のみに飛びついての投資に当たってはくれぐれも自己責任でお願いいたします。)

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