通信大手のAT&T(T)が現地時間の6月26日、配当のお知らせをリリースしました。
AT&Tと言えば、長期に渡り毎期判で押したように0.04ドルの増配を続けており、その増配率は逓減の一途を辿っていることで有名な銘柄。
今回の発表内容ですが、
・7月10日時点の株主に対し1株当たり0.52ドルを8月3日に支払う。
というもの。
この銘柄の増配タイミングは通常2月の支払い時、ということで今回も前回と同額ということである意味至極当たり前の内容。
ただ新型コロナウィルスの終息がいまだ全く見えない中で、これまでと変わらず当たり前のように配当を支払ってくれる、インカムゲイン投資家にとってこれが何より重要。
しかしこの銘柄を取り巻く環境は非常に厳しい。
その一つは何と言っても巨額の有利子負債残高。
テキサスやフロリダ、アリゾナ等の12州で新型コロナウィルス新規感染者がの増加数がこれまでの最高を記録しいよいよ第2波が米国内で現実のものとなりつつある中で、3月末時点で1642億ドル、日本円換算で約17兆円を超える巨額の有利子負債を抱えるこの銘柄への信用不安が高まっている状況。
そんな中、その不安を打ち消すべく現地時間の6月24日その有利子負債の返済情報を以下のとおりリリースしたのは記憶に新しいところ。
AT&Tは資本構造を積極的に管理し、今後の満期の有利子負債を削減し続けます。
AT&Tは約43億ドルに達する6つの債券の元本と合計10億ドルに上る定期ローンの返済分の全額を返済します。
これらの返済の元本総額は約53億ドルです。
最近発表された返済活動と継続する強力なキャッシュフローが組み合わされた結果、将来の短期債務は非常に管理しやすくなっています。
この一連の取引は、株主への配当金の支払い及び成長分野であるファイバー、5G、HBO MAXへの投資に引き続き取り組んでいるにもかかわらず、AT&Tが引き続き信用の質を向上させるという計画に沿ったものです。
AT&Tは配当が2020年通年のフリーキャッシュフローの60%になると予想しています。
これにより2020年中も引き続き負債水準を削減できる柔軟性が得られます。
しかし成長の起爆剤になるのでは?と期待され、5月27日にある意味鳴り物入りでスタートしたストリーミングサービスのHBO MAXはスタートダッシュに失敗。
開始から20日間でのダウンロード数がわずか170万に留まり、2019年11月にサービスを開始したライバルディズニーのディズニー+が開始から2ヶ月足らずで2650万人(5月時点では5000万人)の契約者数を達成下のに比べるとその差は歴然。
いくら会社が設定した目標が、2025年までに50億ドルの年間売上で2019年の年間総売上1812億ドルの3%弱を占めるに過ぎない、つまり仮に目標どおりだったとしても業績に与える影響は軽微とは言っても多いに越したことはない。
有利子負債の返済をアピールするのは結構だが、その原資である利益、特にキャッシュに伴う利益がなければ返済はもとよりこれまでどおり配当を支払うことができなくなってしまう。
AT&Tの第1四半期における営業キャッシュフローは38.5億ドル。
もちろん季節的な、さらには新型コロナウィルスという超特殊要因はあるにせよ、前年同期比で約3割も減少している。
そして上記コメントにあるとおり、AT&Tは今期の配当が年間フリーキャッシュフローの60%になると予想している。
ということは、現在の配当レベルを維持するには超ラフに見積もって前年の2割減程度にとどめる必要がある。
ということで、7月23日発表予定の第2四半期決算に非常に注目しているところです。
(わざわざ有利子負債の返済をリリースするような銘柄への投資にあたってはくれぐれも自己責任でお願いいたします。)
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