銘柄研究

加熱式たばこ、アイコスの輸入差し止めが長期的にアルトリアの死活問題と言える理由

現地時間9月30日にたばこ銘柄、アルトリア(MO)の株価は6.6%もの大暴落となりました。

その理由ですが、米国国際貿易委員会(ITC)が、加熱式たばこのIQOS(アイコス)を米国に輸入することを禁じる発表を行ったから。

アイコスはフィリップ・モリス・インターナショナル(PM)が製造販売していますが、アルトリアは米国での独占販売を担っています。

アイコスについては、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)が子会社であるレイノルズ・アメリカンが所有する2つの特許を侵害している、として提訴。

裁判所はBTIの主張を認める判決を下しており、ITCの決定はこれに基づくものと思われます。

今回の件ですがアルトリアにとって死活問題と言えます。

短期的には現在加熱式たばこの販売量は極めて少ない事から影響は軽微ですが、紙巻きたばこが将来的には市場から消える運命にあることはほぼ確実視されている中で、それに代わる製品として大きな期待を寄せていたのが加熱式たばこだった。

このままでは米国で加熱式たばこの販売ができないことになり、アルトリアはじわじわと真綿で首を絞められるように衰退への道をたどることになる。

もちろんフィリップ・モリスは判決を不服として、特許法を専門とする連邦控訴裁判所へ控訴する予定となっています。

フィリップ・モリスの救いと言えば、今回特許侵害を指摘された2つの特許がヨーロッパにおいては、「ヨーロッパの裁判所とヨーロッパ特許庁では繰り返しそして普遍的にBTIの主張が拒絶されてきた。(by フィリップ・モリス)」こと。

いずれにしても裁判には長い時間がかかる。

ということで、アルトリアホルダーとしては、今回の件については極めて注意深くモニターして行く必要がある、と考えています。

(次世代を担う製品で特許侵害問題を抱える銘柄への投資にあたってはくれぐれも自己責任でお願いいたします。)

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POSTED COMMENT

  1. 通りすがり より:

    IQOS があろうがなかろうがタバコは先進国では規制の対象で衰退産業です。

    相手の主張としてRRPは別にIQOSでなくてもいいというのがあります。
    そしてアルトリアはIQOS以外のRRPもポートフォリオに入れどちらかというとIQOSは力を入れてこなかったように見えました。

    今回の件も前から決算報告書の中に記載がありタバコ関係者の中では別に新事実でもないようです。

    アメリカでの裁判に負けたのはPMとの合併の失敗以後アルトリアがIQOSに本腰を入れず従来のタバコの延命を図り行き過ぎた IQOS の販売戦略に待ったをかけたのではないでしょうか。

    個人投資家としては一旦株価は下がりファンドの資金も入る余地のない今は買い増しの機会ではないでしょうか。
    こういうチャンス以外個人投資家はファンドを出し抜けません。

    タバコは格好品ですから紙巻きタバコが完全に無くなるのも考えものでアメリカは特にその傾向が強いようです。

    • naobito より:

      通りすがりさん
      コメントありがとうございます。
      ITCがRRPは別にアイコスでなくともよい、とコメントしていましたね。
      アルトリアはかみたばこやパウチ等の無煙たばこも手掛けていますが、主力になるにはあまりに力不足。
      フィリップモリスの加熱式たばこの伸びを見ればわかるとおり、現時点ではやはり主力となり得るのは加熱式。
      ただ通りすがりさんの言われる通り、アメリカ人って紙巻きたばこが好きですから、当面は延命できるのでは。

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