決算発表

IBMの2021年第3四半期決算 売上△×、利益×△ = 売却?

IBMが現地時間の10月20日に第3四半期決算を発表しました。

決算概要は以下のとおり。

まず売上は176.2億ドルと前年同期比で0.3%の増収とほぼフラット。(但しまもなく分社化されるキンドリルの事業分を除いた場合2.5%の増収。)

セグメント(部門)別の売上は以下のとおり。

注目の人工知能(AI)のワトソンを含むクラウド&コグニティブ・ソフトウェア部門は2.5%の増収も市場予想には届かず。

次に売上総利益率(グロスマージン)ですが、トータルでは前年同期比で1.6%の減少、そして利益率の高いクラウド&コグニティブ ソフトウェア部門が0.1%減とほぼフラットとなっています。

そして1株利益の方は会計基準(GAAP)ベースで前年同期比で33.9%の大幅な減益。

また、特殊要因を除いたNON-GAAPベースでも、2.58ドルに対して2.52ドルと2.3%の減益に終わっています。

尚、アナリスト予想との比較では、調整後1株利益は予想と一致したものの、売上は予想に届かず。

ということで、非常に残念な結果となりました。

この銘柄の注目点と言えば、すでに発表されているとおりグローバル・テクノロジー・サービス事業の一部であるマネージド・インフラストラクチャー・サービス部門の分社化により誕生する新会社キンドリルと、それに伴いAIとクラウドにより傾注する道を歩むことになる新IBMのわけですが、正直その前途は多難と言わざるを得ません。

IBMは今回の業績に関してはキンドリル分社化に伴う一時的な混乱(CEOは一時停止という表現を使っていますが)もあり、新IBMは2022年には一けた台中盤の売上成長の予定である、としていますが、何分オオカミ少年銘柄ですから、、、

以上、売上△×、利益×△ = 売却を視野に入れ始めた中年投資家なのでした。

(成長という二文字を完全に忘れ去っているIT銘柄への投資にあたってはくれぐれも自己責任でお願いいたします。)

POSTED COMMENT

  1. ひろー より:

    こんにちは。
    Red Hatの事業は相変わらず好調なところがIBMの悲哀をより感じさせます。
    なんだか配当を愚直に追う姿勢から配当安全性を鑑みた成長性も重視するようになりましたね。
    売却?の決断の文字が見えるのは隔世の感があります。

    話は変わりますが、PowerPC関連の事業はIBMに残るんでしょうかね?
    案外銀行系の基幹システムでは採用が続いているのでアーキテクチャ対応が面倒ですが、残って欲しい気がします。
    ちなみに、IntelやAMDが作っているPC向けのx86_64というアーキテクチャは計算精度の保証はしていないので、誤差を許容できない基幹システムには向きません。

    粗利が低い事業のスピンオフを実行したIBMは投資家の期待に応えられるんでしょうかね。

    • naobito より:

      ひろーさん
      お久しぶりです。お元気そうで何よりです。
      そう、Red Hatはまずまずなんですけどね。
      来年リタイアを控え、贅沢をしなければそれなりに生活できそうなことから、投資スタンスにも変化が生じています。
      IntelやAMDの製品は基幹システムに向かないのですね。知りませんでした。
      ということはIBMにも少しは強みがあるということでしょうか?

      • ウィニングチケット より:

        正直者さん、ひろーさん

        基幹システムのくだりとても
        関心があります。

        海外メーカーの技術力はさておき
        大手日本メーカーでも
        私は技術にたいして大きく二つに分類して見ています。

        ①SONY、東芝、Panasonicなど家電一般消費者向け

        ②三菱重工、日立、富士通、NECなど業務用基幹向け

        ①も②もどちらもそれぞれ技術力は素晴らしいですが②の方がより業務用で故障が許されないので
        しっかりしていないと成り立たない確固たる技術力を
        感じます

        • naobito より:

          ウィニングチケットさん
          こんばんは。
          ここしばらく日本銘柄はまったくノーチェックですが、①と②それぞれで決算数値を比較してみるとなかなか興味深い結果が出るのでは?
          などと思ってしまいました。

        • ひろー より:

          ウィニングチケットさん

          こんにちは。
          > ①SONY、東芝、Panasonicなど家電一般消費者向け

          Sonyグループはイメージセンサーと子会社のアニプレックスがFate Grand Order(FGO)で一発当てたので株価低迷から戻っていますね。
          ちなみに、東芝は本体はカンパニー制で本社内部でも内部カンパニーで争っています。原子力や水力といったインフラに強みがありますが、粉飾決算の問題は根本的に組織の問題なので当方は投資する気はありません。パナは・・・見る影もありませんね。

          > ②三菱重工、日立、富士通、NECなど業務用基幹向け

          三菱重工は航空機などの新規事業の開発に失敗しています。
          日立・富士通のSE諸氏と仕事をしたことがありますが、どの方々も優秀でした。
          NECは多重下請け構造の頂点にいる会社で、強みは巨大プロジェクトの舵取りができることと、頭を下げるという大事な基幹業務を粛々と遂行していることですね。

          ウィニングチケットさんは取り上げていませんが、島津製作所とかも技術力があり、ソフトウェア方面を頑張っているようですよ。

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