現地時間の10月24日、化学・電気素材大手のスリーエム(MMM)が第3四半期決算を発表しました。
まず会計基準ベースでの概要は以下のとおり。
売上高はすべてのセグメントで減収となり全体では前年同期比で3.6%の減収。
事業取得・分離-0.5%、為替0.6%を除いたいわゆるオーガニック売上高でも3.7%の減収となっています。
次に利益の方ですが当期損失2,075百万ドルを計上。
その理由はすでに8月29日に発表したとおり、現役・退役の米軍人が提訴した軍需用耳栓の欠陥に関する約26万件の訴訟が裁判所が選任した交渉原告団と合意に達した、ということで今回42億ドルの税引き前費用を計上したため。
但し、この和解費用を含む特殊要因を除いた調整後1株利益は以下のとおり2.68ドルと前年同期の2.60ドルに対し3.1%の増益となっています。
そしてアナリスト予想(FactSet consensus)との比較では、第2四半期に続き以下のとおり売上、利益ともに予想を上回っています。
最後に注目の今期2023年通期予想(NONーGAAPベース)ですが、調整後1株利益で前回の8.60ドル~9.10ドルから8.95ドル~9.15ドルとこちらも前回予想を上方修正しています。
以上、第2四半期のPFAS飲料水汚染訴訟での税引前費用で103億ドルという巨額の和解費用計上に続き、今回も巨額の和解費用計上による赤字転落と非常に厳しい結果となりましたが、調整後1株利益がアナリスト予想を大きく上回ったこと、そして通期予想を再度上方修正したことは朗報でしょう。
さらにいまだ期の途中とは言え、配当の源泉である営業キャッシュフロー(9ヶ月累計値)が前期の3,669百万ドルに対し4,694百万ドルと大きく増加していること、そして営業キャッシュフロー(調整後)予想を上方修正したこともインカムゲイン投資家に安心感を与えています。
ということで、
売上×〇、利益〇(調整後1株利益ベース+対アナリスト予想)、通期予想〇=引き続き様子見
としておきます。
(2024年前半にヘルスケア部門のスピンオフを予定している銘柄への投資にあたってはくれぐれも自己責任でお願いいたします。)
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