公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が7月3日、2019年度の運用結果を公表しました。
何と言っても注目されたのは2020年1~3月期の運用が4半期ベースで過去最悪となる17兆7072億円の損失だったこと。
もちろんその理由は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う世界的な株安。
ということで、投資先で最も損失が大きかったのは、外国株式の10兆2231億円。
そして国内株式は7兆4185億円の赤字となっています。
2019年1年を通しても新型コロナウィルスの発生、流行によってそれまでの貯金を使い果たし8兆2831億円の赤字で、過去2番目の損失額となっています。
そのGPIFの2020年3月末時点のポートフォリオは以下のとおり。
御覧のとおり現在は国内債券、外国債券、国内株式、そして外国株式の4つの投資商品にほぼ23%前後を投資している状況となっています、
さらにGPIFは今年の4月からは国内外の債券と株式にそれぞれ25%ずつ投資する新たなポートフォリオ(資産構成)を採用しています。
実はGPIFは2014年10月、安倍政権の経済政策「アベノミクス」の一環として、運用先に占める株式投資の割合を24%から50%に拡大しているのです。
以上、今回の運用結果報告を見てあなたはどう思いますか?
「まったく、株式、それも外国株の運用割合を増やしたから17兆円もの損失を計上するはめになったんだ!そもそも国民の年金という大切なお金を運用しているのだから、保守的な運用をすべき。元本保証の商品に投資しておけばこんなことにはならなかったんだ!これも安倍政権の弊害だ!」
ですか?
実は2014年の安倍政権のポートフォリオの変更に伴って収益額は拡大しているのです。
そして前身の組織時を含めて、GPIFが市場での運用を始めた2001年度以降の累積の資産増加額は、今回の損失を含めても57兆5377億円ものプラスとなっているのです。
但し2001年から2019年までの収益率は2.6%にとどまっています。
もちろんその理由は、公的年金という性質上、ある程度リスクを抑えた運用(特に2014年より以前)をせざるを得ないから。
しかしそもそも公的年金はその運用期間は一生のはず。
そして2019年度末で150兆円を超えるこの積立金は保険料を払う現役世代の減少に伴う年金不足に対応するため、50年後頃からようやく計画的に取り崩し、年金給付の1割程度の財源に充てることが明らかにされています。
であるならば、もっとリスクを取った、つまり外国株式、それも米国株式の比率を増やす運用をすべきでは?
株式投資、それも米国株投資を始めている方であればそんな風に思うはず、と信じているのですがいかがでしょうか?
(自身の資産の運用にあたってはくれぐれも自己責任でお願いいたします。)
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おはようございます。
債券についてはソブリン債については先進国債券に関してはあまりソブリンリスクは考慮しなくても良いのかなぁなんて思っています。
現在のGPIFの国内債券については外国債券であっても為替ヘッジをしていれば国内債券扱いなんですよね。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-10-01/PYO8BRT0AFBD01
国内債券の利率がほぼない状態なので国内債券で25%はやっぱり厳しいんでしょうねぇ。
> 何と言っても注目されたのは2020年1~3月期の運用が4半期ベースで過去最悪となる17兆7072億円の損失だったこと。
GPIFは機関投資家なので1Qあたりの収益が気にされるのは仕方のないことだと思います。
逆に個人投資家は1Qあたりの評価を気にすることがないので、できるだけ手持ちの時間を活かす運用を心がけた方が良いんですよね。
これはどんな機関投資家が喉から手が出るほど欲しても手に入らないものです。
(逆説的に個人投資家は信用取引をよっぽどのセンスがない限りする必要がない、とも取れます。信用取引は売建・買建共に6ヶ月の決済が迫られるため。)
ひろーさん
公的機関の運用ですから、リスクを抑えた運用をしなければならなことは明白、そしてもちろん説明責任、つまり開示義務を果たさなければならないことも。
ただ運用期間はある意味半永久である、そう言う背景からこの記事を書きました。