銘柄研究

ライバル比較(2023年版)-日米英たばこ銘柄編

以前ライバル比較ということで米英たばこ銘柄3社(ブリティッシュ アメリカン タバコ(BTI)、アルトリア グループ(MO)、フィリップ モリス インターナショナル(PM))の比較を行いましたが、片手落ちであることに気づきました。

ライバル比較(2023年版)-たばこ銘柄編以前通信サービス銘柄のAT&Tとベライゾン、そして飲料銘柄のコカ・コーラとペプシコのライバル比較を行いましたが、今回はたばこ銘柄...

どういう意味かと言えば、我が国日本代表の日本たばこ産業(JT)を入れていなかった。(汗)

ということで、今回は日本たばこ産業(JT)を加えた中で比較を行ってみたいと思います。

まずは稼ぐ力から。

但し比較すべきは通常の営業利益率ではなく、本来の稼ぐ力を表すお化粧のきかない営業キャッシュフローマージン。

営業キャッシュフローマージンとは

企業がどれほど効率的にキャッシュを稼いだかを示す指標であり、営業活動の結果として売上がどのくらいの営業キャッシュフローを生み出したかを表している。

計算式は、営業キャッシュフロー÷売上高で表される。

PL(損益計算書)上の利益はお化粧が可能だが、営業キャッシュフローは資金の入出金であり、会計基準・会計方針等の影響を受けないいわばごまかしのきかない数字である。

それがこちら。

こちらは直近5年間の営業キャッシュフローマージンとなりますが、ご覧のとおりブリティッシュ アメリカン タバコ(BTI)が直近では40%(40.6%)を超えるなど非常に高い状況。

一方、フィリップ モリス(PM)は2022年以降数字を落としており、特に2023年は30%を割っているため今後注意が必要。

フィリップ モリスと言えば2022年にスウェーデンの無煙たばこメーカー、スウェディッシュ・マッチを160億ドルで買収したわけですが、今後買収効果がしっかり出るかどうかに注目しています。

そして今回追加したJTはと言えば、直近2年で数字を落とすなど他社3社に大きく水をあけられている状況。

続いては財務面。

具体的には財務の安定度合いの比較。

使用したのは有利子負債営業キャッシュフロー倍率。

有利子負債営業キャッシュフロー倍率とは、簡単に言えば今ある借金を毎年の稼ぐ力で何年で返済できるか?という数字(年数)であり、数字が少なければ少ないほど返済能力が高い、つまり財務的に安定しているということになります。

<計算式>

有利子負債営業キャッシュフロー倍率=有利子負債÷営業キャッシュフロー

数字が少なければ少ないほど返済能力が高い、つまり財務的に安定しているわけですが、御覧のとおりこちらは逆にJTの低さ、つまり財務の安定度が際立っています。

一方買収の影響からフィリップ モリス(PM)の数字が上昇(悪化)している状況が見て取れます。

そして最後に増配率。

御覧のとおり2021年には9%の増配から一転、翌年には7.2%の減配とブリティッシュ アメリカン タバコ(BTI)の不安定さが目立っていますが、実はこれにはわけがありまして。

ホルダーの方ならおわかりのとおりこの英国銘柄の配当のベースはポンド。

しかし日本の投資家はADR銘柄として米国市場で購入しており、配当はドルで支払われる。

つまり為替の影響を受けることになる。

ちなみに2022年はポンドベースでは減配をしていなかったにもかかわらずポンド安の影響で減配となってしまったわけですが、逆の場合もあり得るわけでこのリスクは投資家としておさえておく必要があると考えています。

そして不安定さと言えばJTも負けてはいない。

他社が増配を続けた2020年には配当維持、そして翌年2021年には1株当たり154円から140円へと9.1%の減配、しかし翌年には188円へと34.3%増配を実施。

現在のJTの配当政策は「配当性向75%」を目安としているわけで、当たり前の話配当の数字がブレているということは利益もブレているということ。

以上ざっと見てきましたが、稼ぐ力だけを見ればブリティッシュ アメリカン タバコ(BTI)への投資が合理性があるように思えますが、前述の為替や配当政策のからみ(BTIは配当性向が低い)もある。

また、稼ぐ力で劣るJTですが、財務的に最も安定している点は考慮に値する。

さらに言えば日本人投資家としてはやはり為替リスクがない日本銘柄への投資は魅力的。

ちなみにNISAでの投資を前提とした場合、日本株に対し不利となる配当への外国税ですが英国銘柄のブリティッシュ アメリカン タバコはゼロ、またフィリップ モリス インターナショナル(PM))も米国銘柄ではあるものの、現在”80/20 company”に該当するために配当金の大部分について外国税の源泉を免除されており、10%課税されるアルトリア(MO)だけが不利な状況。

現在の各社の配当利回りは以下のとおり。

最も低いJTでも4.9%、そしてブリティッシュ アメリカン タバコ(BTI)とアルトリア(MO)に至ってはそれぞれ9.7%、8.9%とある意味異常値。

とは言えこう言ってしまうと身も蓋もないかもしれませんが、どの会社に投資するにせよ定期預金的な役割は十分果たしてくれるのでは?

各データを眺めながらそんな風に感じたインカムゲイン投資家なのでした。

(株価上昇には全く期待できないセクターへの投資にあたってはくれぐれも自己責任でお願いいたします。)

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POSTED COMMENT

  1. そだお より:

    こんばんは

    私は配当再投資を、米国株は正直者さん、日本株は長期株式投資さんを参考にさせてもらっています。

    その長期株式投資さんは、初めての外国株を、新NISAでブリティッシュアメリカンタバコ(BTI)とされました。
    (もちろん日本たばこ産業(JT)も持っておられます)

    正直者さんは、アルトリア グループ(MO)とフィリップ モリス インターナショナル(PM))をお持ちでしたよね。

    私は、日本たばこ産業(JT)とブリティッシュアメリカン タバコ(BTI)、アルトリアグループ(MO)を持っています。

    みんな微妙に違う。(笑)

    • naobito より:

      そだおさん
      おはようございます。
      確かに微妙に違いますね。(笑)
      今回記事を作成しどの銘柄も一長一短あるので「4銘柄を均等に買う」作戦もありかな、などと考えています。

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