前にフィリップ・モリスの年次報告書から、製品別の売上をピックアップし加熱式たばこの存在をクローズアップしたわけですが、今回はアルトリアの年次報告書について書いてみたいと思います。
ただ焦点を当てたのはフィリップ・モリスのように販売している製品ではなく本業以外の部分。
それが投資。
ホルダーの方であればおわかりのとおり、アルトリアと言えば2018年に電子たばこ最大手のジュール・ラブズに日本円で1兆円を超える128億ドルもの大金を投じたわけですが、その後電子たばこに対する政府の規制強化や健康被害問題での損害賠償訴訟等によって業績は大幅に悪化。
その結果アルトリアは二度に渡り減損損失を計上しなければならない状況に追い込まれました。
その損失額は86億ドル。
そして2019年には大麻製造メーカー大手、カナダのクロノス・グループへ約19億ドルの投資を実施したことは記憶に新しいところ。
ただこちらの方は将来性はあるもののまだまだその売上規模は小さく、一人前になるには時間がかかりそうです。
ということで本業はともかく、投資に関してはなかなか厳しい状況のこの銘柄ですが、実は業績に大きく貢献してくれている投資実績があるのです。
それが2016年の現アンハイザー・ブッシュ・インベブへの投資。
アンハイザー・ブッシュ・インベブ (英: Anheuser-Busch InBev N.V.) は、ベルギー・ルーヴェンに本拠を置き、世界50カ国以上に製造拠点を持つ酒類メーカー。
ユーロネクスト・ブリュッセル、ニューヨーク証券取引所、JSE上場企業(Euronext: ABI 、NYSE: BUD、JSE: ANB)。
2008年、ベルギーのインベブが、オランダ・フランスの大手金融機関から融資を受けバドワイザーで知られるアメリカのアンハイザー・ブッシュを買収・合併し、社名変更、CEOにはインベブCEOのカルロス・ブリトが就任した。
買収総額は約5兆8000億円で、ビールメーカーの買収では空前の規模となった。
2012年、メキシコのグルポ・モデロの未保有株を201億ドルで取得し、完全子会社化した。
2016年10月にはイギリスを本拠とするSABミラーの買収(吸収合併)が完了、ビール飲料の世界シェアは3割に達した。
(ウィキペディアより抜粋)
そう、度重なる買収によってバドワイザーやミラー等の著名ブランドを取得、売上は5兆円を超え今や世界一のビールメーカーとしてあまりに有名。
現在アルトリアはその株式の10.1%を保有しているのです。
そしてアンハイザー・ブッシュ・インベブへの出資によってもたらされているもの、それがこちら。
まずアンハイザー・ブッシュ・インベブへの投資は連結決算上持分法により処理されており、当期利益のうち投資割合に応じた利益が持分法投資利益としてアルトリアのPL上加算されるわけですが、御覧のとおりこの金額が2019年で約12.3億ドルにも達しているのです。
そして受け取った配当金は396億ドルということで、アルトリアの利益に大いに貢献してくれている状況となっており、アルトリアにとってはこのビール会社の業績がアルトリアの業績に大きな影響を与える存在となっているのです。
(ちなみにアルトリアの2019年決算は前述のジュール・ラブズの減損損失計上により12.9億ドルの赤字でしたが、アンハイザーからの利益・配当収入がなければさらに損失が膨らんでいたことになります。)
もちろんアルトリアの本業はあくまでたばこ製品の販売のわけですが、我々投資家にとっては利益の源泉に関係なくとにかく利益を上げて増配を実施してくれることが何より重要のわけですから、その意味で配当こそ減少が続いているもののアンハイザーの業績は決して無視できない。
そんな風に考えています。
以上、ご参考まで。
(本業以外の存在が無視できない銘柄への投資にあたってはくれぐれも自己責任でお願いいたします。)
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