コラム

「少子高齢化、それでも年金は破綻しない-日経記事」に対する違和感とは?

2月17日の日経新聞に「少子高齢化、それでも年金は破綻しない」と題した記事が掲載されていました。(※有料記事です)

少子高齢化、それでも年金は破綻しない

記事の内容ですが、いわゆる年金破綻論、つまり少子高齢化の進展によってかつては若者が十数人で1人のお年寄りを支えていたのが、将来的には若者1人で老人1人をささえなければならなくなり、最終的に年金制度は破綻するという考えを否定する内容となっています。

そしてその理由を過去の数字を比較することで説明しています。

その過去の数字ですが、単純に年齢を65歳以上と以下で切った割合で測るのではなく、実際に年金を負担する人と給付を受ける人の割合で比較しており、その数字で見ると1970年以降それほど悪化していない。

ましてや2040年には今より状況は改善することになる。

だからいたずらに感情的になることなく、数字を見据えた上で冷静な議論をすべき。

と結論付けているのですが、当方正直この記事に違和感を感じてしまいました。

なぜなら記事でも書いていますが、数字が悪化していない理由は働く高齢者と女性が増加したから。

つまり逆説的な言い方になりますが、働く高齢者と女性が増加していなければ数字は確実に悪化していた。

というか、年齢を65歳以上と以下で切った割合に沿った数字となっていたはず。

そして特に働く高齢者(と女性)が増加したしたのは、働かざるを得なかった面が大きいと考えています。

特に60歳から65歳への年金の支給開始年齢の引き上げが大きかった。

この5年間の収入がゼロになることで働かざるを得ない状況が作り出された。

実際8割以上の人が65歳まで働いている。

要は受給開始年齢引上げは年金破綻を避けるための政府の対策と考えれば非常にわかりやすい。

さらに2017年で終了したものの、年金保険料の引き上げ、マクロ経済スライド導入による年金支給額の抑制もすべては年金破綻回避のための施策。

つまり何も手を打たなければ、少子高齢化で年金が破綻する可能性が高いことは間違いないのではないでしょうか。

確かに平均寿命は伸び続けいわゆる元気な老人が増え続けていることは紛れもない事実。

ただそんな老人すべてが働き続けたいか、と言われれば話は別。

健康寿命を考えたら元気なうちに仕事に縛られず、人生の最後くらいは本当の意味での悠々自適な生活を送りたい、と考える人は多いのではないでしょうか。

しかし日本の少子高齢化の進展はそんな希望を打ち砕き、働き続けることを要求する。

ということで、今回の記事のタイトルですが誤解を避けるために、

「少子高齢化、それでも年金は破綻しない」

ではなく、

「少子高齢化、働き続ければ年金は破綻しない」

あるいは、

「少子高齢化、働き続けなければ年金は破綻する

と読み替えるべきでは?

と真面目に考えているのですがいかがでしょうか?

(年金をあてにした老後の生活設計はくれぐれも自己責任でお願いいたします。)

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POSTED COMMENT

  1. 通りすがり より:

    少子高齢化で年金が破綻するというのは実は年金というのはとても先が読みやすい制度だと前読んだことがあります。
    つまりは将来の人口分布というのは今年生まれた人数から簡単に計算できそれに従い年金の設計をすればいいので破綻しないようにしようと思えば簡単ということでした。
    ただ、破綻しないのは年金制度だけの話で人口分布に大きな剥離がある場合(一時的かもしれませんが)年金の支給額を遅らせていったりしないといけないということでそれが今の時期だと思います。
    何らかの形で高齢までお金を稼ぎ続けないといけないです。
    ただ、あまり年金を減らしすぎると生活破綻する人が増えて生活保護が増えかえって社会保険料の支出が増えるのでそう簡単には減らすことはできないようです。
    今の時代人口が増えても教育が十分に行われ税金を納める人口がどれだけ増えるかという問題もあるようです。
    先進国であれば少子化に沿った今後の国の設計を考えるということも選択肢にあるように思います。

    • naobito より:

      通りすがりさん
      こんばんは。ためになるコメントありがとうございます。
      なるほど、人口統計から先を読んで制度設計することが可能なのですね。
      当方の世代から一回り下以降の年代はちょうど少子化が進んで割を食う世代と言えるのでしょうね。
      ただ嘆いたり、政府を恨んでも仕方ありませんから、やはりいかに国に頼らず自分年金を構築するか、これが大事なのでしょうね。

  2. ウィニングチケット より:

    おはようございます。

    結論としては我々の世代は
    (ほとんどの方は)年金は貰えないようですね。

    定年制は徐々に徐々に高齢化し、65歳、70歳、75歳というのも
    現実になって来るのでしょう。

    支給開始年齢も60歳から65歳、70歳、そして75歳へとどんどん後ろ倒しになり、、、60歳、65歳を過ぎても働き続ける老体は酷使され日本の長寿も徐々に改善?され多くの方は貰ても数年で、中には50年以上年金を支払い続けても年金を貰えずに現役で亡くなる方もおびただしい数になる事でしょう。

    『生涯現役』『現役最高』が今以上に美徳とされ、『アイドルも現役』『とりあえず現役』『ナニガ何でも現役』『現役が今はトレンディ』と、政府広報やドラマやテレビやジャニーズ事務所やインターネットやYouTuberも『現役バブル』を増幅拡散し国民を洗脳させ『映画館現役割引』『現役優先席』が公共交通機関や映画館でもとにかく現役が優遇され、ついには国民の祝日として『現役の日』が設定される事でしょう。

    • naobito より:

      ウィニングチケットさん
      こんにちは
      悲しいかな年金支給開始の後ろ倒しに合わせ定年も延長せざるを得ない。
      それにしても『生涯現役』以降~『現役の日』が設定、までの文章が素晴らしいです。
      もしかしてウィニングチケットさんは政府の広報担当者だったりします?(笑)

  3. 通りすがり より:

    今の人口分布の偏りは一時的であるのか永続するのかわかりませんけど、一時的であれば増税や支払いの延期等の恒久策を取られてしまうと人口分布が正常化したときに政府の支払いが少なすぎることになります。
    我々としては政府のプロパガンダに惑わされず一時的であれば国債や政府の支出削減で賄うのが正しい方策であるため、増税や年金支払の延期を許容してはいけないということになると思います。
    人口分布の偏りを正常化するのも政府の仕事ですから急に出生数を増やそうとしたり、また、不況で急激に減るなども政府として回避すべきです。
    現在正しい政策を行わず国民負担で済まそうとしている以上年金を遅らせたり、増税したり、社会保険料を増やす(65歳まで国民年金の支払を義務化する)などは反対していかなければいけないと思います。

    • naobito より:

      通りすがりさん
      個人的には少子化の歯止めは厳しいと悲観的に考えていますが、この国の未来のために政府には本腰を入れて対応していただきたいものです。

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