かねてから報道されていたとおり、現地時間の5月27日AT&T(T)が新たなストリーミングサービス、HBO MAXをスタートさせました。
すでにHBOの契約をしている人は追加料金なしで、新規の場合は月額14.99ドルでサービスを受けることが可能となっています。
この報道を好感してか同日の株価は(珍しく)3%以上上昇して終えています。
今回のコロナウィルス発生による生活習慣の劇的な変化がストリーミングサービスへの強い追い風となっていることは確か。
但しこのままこの銘柄の株価が上昇気流に乗るか、と言われればそう簡単ではない、と思っています。
もちろんその一番の理由はライバルの存在、それも強力な。
例えばストリーミングサービスの王者ともいうべきネットフリックスの料金は月額13ドル(スタンダードプラン)。
そしてAT&Tに先立ってサービスを開始したディズニーの場合は月額7ドルとHBO MAXの価格を下回っています。
さらにアップルTVもあればアマゾンプライムビデオもある。
まさに群雄割拠の状況。
そして今回サービス開始にあたりAT&Tが設定した目標が、2025年までに5千万人へのサービス提供と50億ドルの年間売上。
この目標があまりにも保守的。
なぜならすでに現在衛星放送やHBOに契約している顧客が3400万人もいるから。
仮にこれらの人々が全員HBO MAXに乗り換えればそれだけで3400万人は確保、ということになります。
さらにディズニーの場合は全世界でとは言えすでに4月にその5千万人を突破している。
そしてネットフリックスの契約者数は全世界で1.8億人。
いくら米国中心のAT&Tとは言えやはり見劣り感は否めません。
そして事前の評判(関心の高さ)も今一つ。
グーグルのトレンドデータによれば、4月1日と比べHBO MAXの最近の検索が10倍になった、とのことですが、検索数自体をディズニーのディズニープラスと比べると10分の1以下、そしてネットフリックスと比べると20分の1に留まっているのです。
そもそも今回のサービス提供がAT&Tの業績に与える影響はそれほど大きくありません。
仮に会社の目論みどおり2025年までに売上高50億ドルを達成したとしても、その金額は2019年の総売上1812億ドルの3%弱を占めるに過ぎない。
ということで、むしろ今回のストリーミングサービスは、
じり貧状態が続くケーブルテレビや衛星放送事業での契約者数の減少分を相殺する、つまり食い止める存在。
と考えると非常にわかりやすい、というか、今後の業績への影響を正しく理解できるのでは、と思っています。
(セサミストリートやスタジオジブリ作品が大好き、というだけでのAT&Tへの投資にあたってはくれぐれも自己責任でお願いいたします。)
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