現地時間の5月15日、2024年3月末時点のバークシャー・ハザウェイ(バフェット)の上場株式保有状況がSEC(米証券取引委員会)に開示されていましたので、早速いつものとおり比較表を作成しました。
尚、米証券取引委員会(SEC)に保有銘柄を開示する義務があるのは主に米国で上場する銘柄であり(但し一部銘柄の保有状況は非開示。)、日本の総合商社株等は対象外となっています。
以下が前回開示の2023年12月末との比較になります。
主な変化点は以下のとおり。
何と言っても注目はアップルの10%以上の売却(NO.5 黄色参照)でしょう。
すでに5月4日発表した1〜3月期の四半期報告書で、3月末時点のアップル株の保有時価が1,354億ドル(約20兆7000億円)と23年末時点から22%減ったことを開示していたわけですが、バフェットは売却理由について、売却益にかかる税率21%が今後上昇するとの見立てがあったとし、
「(アップルは)極めて素晴らしい事業。24年末時点で最大の保有株である可能性が極めて高いと思う。」
と述べ、高い評価は変わっていないことを強調しています。
さらに視聴者向けのコンテンツを制作するメディア、ストリーミング、エンタテインメントのグローバル企業であるパラマウント グローバル(NO.30 ピンク参照)の売却を進め、今回9割近くを売却。
パラマウントと言えば、米映画製作大手スカイダンス・メディアが合併交渉を進めてきましたが、5月上旬にソニーグループが米投資ファンドのアポロ・グローバル・マネジメントと共同で買収を提案したことが判明。
スカイダンスとソニー・アポロ陣営が買収合戦を繰り広げる構図となっているわけですが、バフェットはすでにバークシャー・ハザウェイの年次株主総会で、パラマウント株全株を売却したことを明らかにしています。
パラマウントに関してバフェットは、「100%私の責任だ。かなり巨額の損をした」、(パラマウントへの約2年間の投資のおかげで)「賢くなったが、貧しくもなった」と語っていますが、米ビジネス情報サイトによれば、その損失額は約15億ドル(約2300億円)と見積もられているようで、バフェットも人の子だったということで、凡人シニア投資家にはある意味勇気づけられる売却となりました。
同じ売却で言えばパソコン・プリンター大手のHP INC(NO.17 黄緑参照)の売却を進め今回すべて売却しています。
一方追加投資では、エネルギー銘柄ですでに持ち分法適用会社であるオクシデンタル ペトロリアム(NO.29 水色参照)の買い増しを進めた一方、6月末、9月末時点で売却したものの12月末時点で一転買い増したシェブロン(NO.10 水色参照)を一部売却。
このあたりは原油や天然ガスの開発を手がける米ヘス社の買収の進展状況が影響したのでしょうか?
買い増しで言えば今回スイスに本拠地を構える損害保険会社のチャブ(CHUBB LIMITED NO.11 グレー参照)を購入しています。
この会社ですが、実は2023年7〜9月期から取得を始め、徐々に買い増してきましたが、米証券取引委員会(SEC)が同社の非開示を認めていたため、これまで明らかにされていなかった、という経緯があります。
バークシャーは成長性の中核を担うガイコ等の広範な保険会社の株式を保有しており、業界に精通しているわけである意味合理性があると言えるのではないでしょうか。
以上ご参考まで。
(バフェットの保有銘柄を妄信しての投資にあたってはくれぐれも自己責任でお願いいたします。)
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