今回は持株本田技研工業(7267)が決議、導入するDOEについて書いてみたいと思います。
DOEとはDividend on Equity ratioの略、親会社所有者帰属持分配当率のことであり、計算式は以下のとおり。
親会社所有者帰属持分配当率 = (1株あたりの配当金) / (期首1株あたりの親会社所有者帰属持分 + 期末1株あたりの親会社所有者帰属持分) ÷ 2 × 100
また、親会社所有者帰属持分とは、株主資本から非支配株主持分を差し引いたもの。
つまり簡単に言えば、株主資本(※但し企業が子会社を100%所有している場合)のこと。
さらに本田が使用するのは親会社所有者帰属持分ではなく、調整後親会社所有者帰属持分。
具体的には、親会社所有者帰属持分から為替や市場環境の影響による変動が大きい「その他の資本の構成要素」を除外したものであり、厳密に言えば調整後DOEということになります。
で、「その他の資本の構成要素」とは主に株価変動の際に発生する損失や利益、為替変動差額など、通常の経営活動で発生しない財務上の変動を指します。
具体的には保有する株式等の評価差額や海外子会社の決算書を円に換算する際の為替差額等であり、要は経営と直接関係のない部分のこと。
これを除外することで、資本金や利益剰余金等のよりコアな株主資本を分母としたということになります。
この調整後DOEを3%を目安とし導入することにした。
以上、ダラダラとわかりづらい説明を書いて来ましたが、要はホンダはこれまでの配当性向を基準とする配当、つまりPLの当期利益をベースとする配当からBSの株主資本をベースとする配当へ変更したということ。
これによって何が変わるかと言えば、配当の安定。
ご承知のとおり毎期の利益は景気動向や市場状況等により大きく変動する可能性がある。これに対し株主資本はよほどのことがない限り当期利益のような大きな変動はない。
ちなみに以下は2025年3月期の調整後親会社所有者帰属持分となります。

御覧のとおり、資本金、資本剰余金、自己株式、利益剰余金から構成されており、そのほとんどを過去の利益の累積である利益剰余金が占めていることがわかります。
要は今後ホンダが毎期利益を上げ続ける限り調整後親会社所有者帰属持分は増加し、結果配当は増えていくことになる。(もちろん自己(社)株買いをすれば調整後親会社所有者帰属持分は減少するわけですが、当然1株当たりの計算の分母に使用される株式数は減少するわけでして。)
今回ホンダが配当方針変更の理由を「より安定的・継続的な配当の実現ため」としたのはうなずけます。
また、これが今回2026年3月期の通期予想を大幅な減益としたにもかかわらず、当方がこの銘柄の保有継続を決めた理由でもあります。
とここで、
「DOE導入はわかったけど、となると例えば今後はたとえ大幅な増益となっても(配当性向をベースとしていないことで)大増配は見込めないのでは?」
というしごくまっとうな疑問が湧こうかと思います。
それに対しては、
「きっと3%を5%にする等変更し、大増配してくれるはず。」
と信じていますが果たしてどうなりますか。
以上、ご参考まで。
(よく言えばフレキシブル、悪く言えば配当方針に一貫性のない銘柄への投資にあたってはくれぐれも自己責任でお願いいたします。)
よろしければ応援クリックお願いします。
にほんブログ村
おはようございます。
とても分かりやすくまとめていただきありがとうございます。うん、バッチリ理解出来ました。
配当性向を基準とする配当、つまりPLの当期利益をベースとする配当性向と、BSの株主資本をベースとする配当性向の違いについて明快になりました。
ただ私の投資行動における結論はホンダなどの景気循環敏感銘柄には長期ガチホ投機はあまり好みません。今のような良い環境では良い事をいろいろ言っていてもいざ、景況感がガラリと変わったら、、軒並み減配、無配にガラリと告示文1枚で配当方針を変えてくるのが見えているからです。
最低でも2008〜2009年のかの世界金融危機時にも減配していない企業に長期では投機したいと考えます。
景気循環株はむしろ良い時ではなく減益、減配、赤字見込みの皆が逃げ出す時にそっと買うようにしています。
ウィニングチケットさん
おはようございます。
記事読んでいただいたようでうれしいです。
おっしゃるとおり景気循環・敏感銘柄は長期保有には向かない。
ただ当方のような愚鈍投資家の場合その循環タイミングが読めないというかことごとく外してしまう。(汗)
その点Xを拝見しているとウィニングチケットさんは精緻かつ継続的な分析で循環タイミングを把握しておられる。
本当に羨ましい限りです。
こんばんは
正直者さんのこの記事と、ウィニングチケットさんとのやりとりだけでも充分伝わる話ですが、
”ゆっくりあせらずちょとずつ”でいいのなら、
・日ごろは銘柄研究にいそしみ、暴落時に買い出動。
・DOE銘柄はガチホ。景気循環株は上昇で売却(または景気循環株は触らない)。
・そして次の暴落でまた買い出動。
これの繰り返しでいいのではないかと思っています。
思ってはいても、これがなかなか出来ないんです… (´;︵;`)
そだおさん
おはようございます。
そう、おっしゃるとおり(当方のような)凡人投資家は暴落時がうまくつかめない。
上昇時売却のタイミングもまたしかり。
よって、キャピタルゲインを追うなら、
「ウィニングチケットさんに追従する。」
というのがベストな投資手法かと。