ジョンソン エンド ジョンソン(JNJ)のベビーパウダー使用による健康被害を訴える裁判で、ミズリー州控訴裁判所は現地時間の6月23日、ジョンソン エンド ジョンソンの賠償責任を認める判断を下しました。
賠償金額は46億9千万ドル(日本円換算で約5000億円)から大幅に減額され21億ドル。
とは言え巨額であることに変わりありません。
今回の判決に対して会社の広報担当は以下のとおりコメントしています。
「これは根本的に欠陥のある裁判であり、事実の誤った提示に基づいていた。私たちは癌に苦しんでいる人に深く共感します。それが真実がとても重要である理由です。私たちはタルクが安全でアスベストを含まず、癌を引き起こさないことを確信しています。」
そしてミズリー州の最高裁判所へ上告するとしています。
今回のベビーパウダー裁判に関して会社は一貫してその安全性を主張しているわけですが、その一方ですでに記事にしたとおり、今年の5月には北米以外の地域では販売を続けるものの、売上低迷を理由に北米地域での同商品の販売中止を決めています。
さらにさかのぼると昨年2019年の10月には米食品医薬品局(FDA)の検査で、オンラインで販売されたベビーパウダーから微量のアスベストが検出されたことを受け、米国でベビーパウダー約3万3000個のリコール(自主回収)を発表。
しかし10月29日にジョンソン エンド ジョンソンは該当ロットを再検査した結果、アスベストは検出されなかったばかりか、自主回収した商品についても、第三者による検査でアスベストを含まないことを確認したとFDAの検査結果を否定しています。
ご存じのとおり和解を含む最終的な判決には長い時間がかかるわけですが、現在ジョンソン エンド ジョンソンが抱える米国でのベビーパウダー商品を巡る訴訟は3月29日現在で1万9千件以上にものぼっています。
今回の原告は22人。
「それで21億ドルということは、1万9千人にもなればその賠償額は天文学的数字になるのでは?」
と、戦々恐々としているホルダーもいるかもしれません。
ただ現時点でこの銘柄を見限る理由は全くないと考えています。
その理由ですが、まず北米でのタルクベースのベビーパウダーの売上は、消費者向け事業の売上のたった0.5%を占めるにすぎず、売上(及び利益)への影響はほぼ無視できるから。
そして賠償額の方ですが、前述のとおり裁判には長い時間がかかり、また紆余曲折も予想されます。
仮に最悪の事態を想定するにしても今すぐどうこうする必要はない。
これまでどおり四半期決算の内容をしっかり確認していれば良い。
さらに言えば、発行する社債が現在の格付を維持している限り、そう、天下のアメリカ政府(が発行する国債)よりも高い格付けを維持している限り、売却する必要なし。
と考えているのですが楽観的過ぎるでしょうか?
(数多くの訴訟を抱える銘柄への投資にあたってはくれぐれも自己責任でお願いいたします。)
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アメリカならではの巨額賠償の怖さですね。
実際にその時になってみないと、ホルダーの自分がどう行動するのか正直わかりません・・。
だからでしょうか、2桁兆円の賠償を受けた時代もフィリップモリスをホールドしていた方々には感服します。
あめさん
こんばんは。
正に裁判大国アメリカ。
ただジョンソン エンド ジョンソンの場合毎年の稼ぐ力、2兆円に達する営業キャッシュフローからすると耐力はあると思っています。