銘柄研究

【銘柄紹介(2020年版)】アルトリア(MO)

以前から不定期で保有銘柄を中心に売上等直近の業績の紹介をして来ましたが、2020年度決算も終了していますので、自身の備忘録の意味も含め2020年版としてアップデートすることにしました。

今回はたばこ銘柄のアルトリア(MO)を取り上げたいと思います。

【会社概要】

アルトリア・グループ(Altria Group, Inc)は持株会社である。

【事業内容】

同社の事業は喫煙可能な製品、無煙製品およびワインが含まれる。

同社の完全子会社は米国でタバコの製造・販売を行うPhilip Morris USA Inc. (PM USA)、機械製葉巻とパイプタバコの生産・販売を行うJohn Middleton Co. (Middleton)、子会社U.S. Smokeless Tobacco Company LLC (USSTC)とSte. Michelle Wine Estates Ltd. (Ste. Michelle)を経由して無煙製品とワインの生産・販売を行うUST LLC (UST)を含む。

他の運営会社はタバコ製品を製造・販売する子会社であるNu Mark LLC (Nu Mark)、財務資産のポートフォリオを維持する子会社のPhilip Morris Capital Corporation(PMCC)、Altria Group Distribution Company及びAltria Client Services LLCを含む。

2020年12月末時点の従業員数は約7,100人。

(出典元:SBI証券、Form-10K)

まず直近5年間の売上の推移は2017年以降は毎年前年同期比で微減となっていましたが、直近2020年では新型コロナ流行によって自宅での喫煙機会が増えたこともあり増収に転じています。

また過去3年間のセグメント別の売上の推移は以下のとおり。

全体の9割近くを紙巻きたばこが占めているわけですが、オーラル(噛み)たばこ(旧無煙たばこ)は年々売上を伸ばしています。

尚、紙巻きたばこの主力ブランドであるマルボロの市場シェアは以下のとおりとなっており、若干ではありますが米国では年々低下している状況が見て取れます。

続いては1株利益(潜在株式調整後)。

御覧のとおり2019年までは低下の一途を辿っていますが、これは減損損失等の特殊要因の影響が大きかったと言えます。

会社の収益力を知る上でより重要なのは真の稼ぐ力を表す営業キャッシュフロー、そしてそのマージンの推移。

営業キャッシュフローとそのマージンが2018年から急上昇しているのは、米国で事業を営むこの銘柄にとって2018年に米国の法人税減税をはじめとする税制改正が実施されたことが非常に大きいと言えます。

そして有利子負債残高と財務の安定性を示す有利負債営業キャッシュフロー倍率ですが、2018年以降有利子負債残高が増加しているのは、電子たばこの製造・販売を営むジュール・ラブズとカナダを拠点とする大麻製造・販売のクロノス・グループへの出資を行ったことによるもの。

(但し、ジュール・ラブズへの投資に関しては、若者の健康被害問題や規制強化による業績の大幅な悪化で莫大な減損損失計上を強いられたことになり、結果として失敗だったと言わざるを得ません。)

有利子負債営業キャッシュフロー倍率とは、簡単に言えば今ある借金を毎年の稼ぐ力で何年で返済できるか?という数字(年数)であり、数字が少なければ少ないほど返済能力が高い、つまり財務的に安定しているということになります。

<計算式>

有利子負債営業キャッシュフロー倍率=有利子負債÷営業キャッシュフロー

最後にインカムゲイン投資家注目の増配率。

アルトリアと言えば高配当、高配当と言えばアルトリア。

御覧のとおり特に2019年までの増配率は見事と言うほかありません。

尚、参考までに過去1年間の株価の推移(青色)を市場平均(ダウ平均:赤色)と比較したチャートは以下のとおり。

以上見てきましたが、前述のジュール・ラブズへの投資が失敗に終わったことは非常に残念ですが、その時点で米国で大規模減税が行われていたことはある意味運が良かったと言えます。

値上げである程度補えるとは言え、現在主力の紙巻きたばこの先細りは既定路線でしょうから、今後はすでに一部地域で販売を開始している加熱式たばこの普及がどれだけ進むかがこの銘柄の成長、さらには増配維持のカギを握っていると考えています。

(本データを妄信しての投資にあたってはくれぐれも自己責任でお願いいたします。)

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POSTED COMMENT

  1. ジュンナン より:

    精緻な分析、いつも勉強になります。
    株価も現在順調で申し分ないのですが、今後のバイデン政権による増税の影響が懸念するところではあります。

    • naobito より:

      ジュンナンさん
      こんばんは。
      楽観的かもしれませんが、たとえ増税になろうとも止められないものは止められない。
      それがたばこ。
      そう思っています。

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