バイオ医薬品企業大手のファイザー(PFE)が3月23日に、新型コロナウイルスの治療薬について初期段階の臨床試験(治験)を開始した、と発表しました。
口から飲む経口薬で、注射薬などに比べて利便性が高いのが特徴で感染者の体内でウイルスの増殖を防ぐ作用を持つとのことで、これまでの実験では効果が示されたと報じられています。。
また併せて、入院患者を対象にした静脈注射で投与する新型コロナ治療薬の治験も進めているようです。
そのファイザーと言えばもちろん新型コロナワクチン。
ご存じのとおりこちらの方はすでに量産中であり、今期予想では以下のとおり売上が約150億ドル(日本円換算で約1.6兆円)と全体の約25%、そして利益では全体の19%を占める、としています。
仮にワクチンに加え治療薬の開発にも成功すればまさに鬼に金棒。
ですが、事はそう簡単ではない。
今回の治療薬の開発いまだ初期段階であり、失敗に終わる可能性の方がはるかに高い。
さらに言えば、初期治験の公表などは製薬会社にとっていわば日常茶飯事。
多くの試験のうちの一つでしかない。
ただ今回の報道で当方が注目したことがある。
それが合わせて発表されたワクチン事業の拡大を目指す計画の方。
アルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)は、今回の新型コロナウイルスワクチン開発を支えた遺伝子技術であるメッセンジャーRNA(mRNA)技術を用いて、コロナウイルス以外のウイルスや病原体を対象とした新たなワクチンを開発する方針を表明したのです。
これについて、
「いやいや、メッセンジャーRNA技術を開発したのはファイザーではなく共同開発したビオンテック社の方でしょ?」
って言う鋭い突込みが入りそう。
確かにそのとおり。
ただこの件についてブーラCEOは、「ビオンテックと共同でコロナワクチンを開発したこの1年間でファイザーの科学者やエンジニアは10年分の経験を積んだ。」と語った、と報じられています。
いわば技術は習得した、というわけです。
しかもファイザーには、今回の新型コロナワクチンしかり、確固たる量産技術がある。
これも強み。
実はファイザーは乳がん治療薬のイブランスを始めこの10年間で同業他社より多くの特許切れを迎える。
これが株価の上昇を抑えている可能性は十分ある。(青がファイザー、赤がダウ平均)
その意味でも今回の遺伝子技術を使ったワクチン事業の拡大報道に注目した中年投資家なのでした。
(投資判断にあたってはこちらを参考にしていただけるとさらにこの銘柄への理解が深まるかと。)
(初期治験報道のみに期待しての投資にあたってはくれぐれも自己責任でお願いいたします。)
よろしければ応援クリックお願いします。
にほんブログ村