たばこ銘柄のフィリップ・モリス・インターナショナル(PM)が現地時間の10月20日に第3四半期決算を発表しました。
まず決算概要(会計基準ベース)は以下のとおり。
売上は前年同期比で1.1%の減収。(但し、為替の影響を除くと7.4%の増収)
これを製品別の出荷数量・販売金額で見ると以下のとおり。
御覧のとおり紙巻きたばこは数量ベースで-1.7%、そして金額ベースでは為替の影響があり-3.2%とともに減少。
一方加熱式たばこは数量ベースで+17.1%、そして金額ベースではドル高の影響を受けながらも+1.5%とともに増加し好調を維持しています。
続いて利益ですが、会計基準ベース、以下の特殊要因を除いた調整後1株利益ともに前年同期比で減益となっていますが、為替の影響を除外した場合にはそれぞれ8.3%、8.2%の増益であることには注意が必要でしょう。
次にアナリスト予想との比較ですが、こちらの方は第2四半期同様売上、調整後1株利益ともに予想を大幅に上回っています。
最後に2022年の調整後1株利益の通期予想は以下のとおり。
御覧のとおり前回予想を下方修正しており、前期実績に対しては-1.5%の減益となっています。
以上、総じてみればドル高、インフレの影響下にあってまずまずの決算内容と言えます。
ということで、売上×〇、利益×〇、予想×=(とりあえず)ホールド
としますが、実は今回の決算内容以上に注目すべきニュースが。
それはフィリップモリスとアルトリアが前日2024年4月30日をもって 加熱式たばこIQOS(アイコス)システムの販売関係を終了することに合意した(というかフィリップモリスが長期の契約に合意しなかった。)ことをリリースしたこと。
現在加熱式たばこはいまだ米国での販売を行って(というか行えて)いないわけですが、いずれにしても2024年4月30日以降はアルトリアに代わりフィリップモリスが米国におけるIQOS(アイコス)システムの販売に関する全権利を有することになります。
但し、米国におけるMarlboro(マルボロ)の商標権はアルトリアの子会社であるフィリップモリス USAが所有しているため、フィリップモリスはMarlboro(マルボロ)の商標権およびその他のブランド資産を使用することはできません。
尚、今回の合意に伴いフィリップモリスはアルトリアに対して総額27億を支払うことになり(10億ドルは支払い済み)、この金額については予想には含まれていません。
いずれにしても販売権の移転はまだ先の話ではありますが、これがフィリップモリス、そして特にアルトリアにどのような影響を及ぼすのか(リリース文書にはアルトリアは2022年末までに、加熱式タバコを含む2つの無煙たばこ製品の設計を最終化する予定、との記載あり。)、現在両銘柄を保有する投資家として今後の情報を注視し保有継続の判断を下す必要があると考えています。
(何やかや言っても健康被害を避けて通れない銘柄への投資にあたってはくれぐれも自己責任でお願いいたします。)
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失礼します。
調整後1株利益(Adjusted Diluted EPS)の前回予想は5.73~5.88ではなく、5.90~6.05でしたので、今回の5.81~5.96という値は下方修正になるのではないでしょうか。(前回の5.73~5.88はReported Diluted EPSの値で、そちらは今回は5.47~5.62となっていたかと思います。)
pekeさん
ご指摘のとおり5.90~6.05でした。
大変失礼いたしました。
記事の方は修正いたしました。
指摘いただき大変ありがとうございました。
なおびと様
記事の説明、有り難うございました。
アルトリアが出すであろう新製品の発売を待ってからどうするかを決めても良さそうですね。
チキチキさん
実際に新製品を販売できるのか?を含めモニターが必要ですね。
PMはアメリカ市場進出ですね。
ただ、MOとのライセンス関係はわからないですし完全に関係がなくなることは無理のような気がします。
なので報道する範囲は限定的か宣伝の意味が強いのではないかと思っています。
MOはJUULとの提携もやめてますからこれからは好きに製品開発ができるという形にはなりますが、なにせ相手はFDA。
化けるか衰退かこういうときに投資できる人はすごいと思います。
PMがアメリカで工場作るならMOが真似して製品を作ったほうが合理的だという気もします。
為替も政府が一番動かしてしまってますが、投資環境も本当に先が見えずこれからは本当に投資が難しい時代に突入しますね。
先が見えずさん
確かに完全に関係がなくなることはないかもしれませんが、今回の件もPMが長期契約を望まなかったようですし、無煙たばこ大手、スウェディッシュ・マッチへの買収提案(による米国市場参入)も考えるとPMから距離を置きたがっていることは確かなようですね。
現段階ではMOが自力で加熱式たばこの開発・販売ができるのか不透明な状況ですので、新規投資する場合はある意味賭けの部分が大きいですが、今回の報道に対する市場の反応は今のところ限定的。
素人投資家としては決算を含む今後のリリース内容やアナリスト分析をベースに投資判断するしかなさそうです。