以前から不定期で保有銘柄を中心に売上等直近の業績の紹介をして来ましたが、2020年度決算も終了していますので、自身の備忘録の意味も含め2020年版としてアップデートすることにしました。
今回はヘルスケア関連銘柄のギリアド サイエンシズ(GILD)を取り上げたいと思います。
【会社概要】
ギリアド・サイエンシズ(Gilead Sciences, Inc.)は医薬品の発見・開発・商業化を行う研究型バイオ医薬品会社である。
【事業内容】
同社の製品ポートフォリオと治験薬のパイプラインはヒト免疫不全ウイルス、後天性免疫不全症候群(HIV/AIDS)、肝疾患、癌、炎症、呼吸器疾患、心血管疾患を含む。
HIV/AIDS患者用製品は「Descovy」、「Odefsey」、「Genvoya」、「Stribild」、「Complera」、「Eviplera」、「Truvada」、「Emtriva」、「Tybost」、「Vitekta」を含む。
肝臓疾患患者用製品は「Vemlidy」、「Epclusa」、「Harvoni」、「Sovaldi」、「Viread」、「Hepsera」を含む。
同社は血液学・腫瘍疾患の患者にZydeligを提供する。
心臓血管疾患の患者用製品は「Letairis」、「Ranexa」、「Lexiscan」を含む。
炎症・呼吸器疾患治療用の製品は「Cayston」と「Tamiflu」を含む。
(出典元:SBI証券)
ギリアド・サイエンシズと言えば以前はエイズ治療薬、だったわけですが、新柄コロナウィルスの発生・流行により2020年はレムデシビルがその治療薬として脚光を浴びました。
まず直近5年間の売上の推移ですが、以下のとおり2019年まではほぼ右肩下がりとなっていましたが、コロナ下の直近2020年では一転増収。
その理由は以下の製品別売上を見るとわかります。
御覧のとおり主力のエイズ治療薬が増加していた一方、C型肝炎治療薬は減少を続け足を引っ張っていた。
それが2020年には前述の新型コロナ治療薬のレムデシビルが登場したことで前期比で売上を伸ばした、という状況が見て取れます。。
実はギリアドはかつてはC型肝炎治療薬がメインの企業だった。
それが皮肉にも治療効果が抜群だったことで、売上が急激に減少、代わってエイズ治療薬がメインとなった。
という歴史があります。
続いては1株利益(潜在株式調整後)。
特殊要因の影響によりでこぼこ状態。
但し会社の収益力を知る上でより重要なのは真の稼ぐ力を表す営業キャッシュフロー、そしてそのマージンの推移。
御覧のとおり40%を大きく超えていた以前に比べ売上同様低下傾向にはありますが、それでも直近でも30%以上をキープしている。
そして有利子負債残高と財務の安定性を示す有利負債営業キャッシュフロー倍率ですが、2020年9月に同業のイミュノメディックス社を買収したこともあり、有利子負債が増加、倍率が上昇しています。
有利子負債営業キャッシュフロー倍率とは、簡単に言えば今ある借金を毎年の稼ぐ力で何年で返済できるか?という数字(年数)であり、数字が少なければ少ないほど返済能力が高い、つまり財務的に安定しているということになります。
<計算式>
有利子負債営業キャッシュフロー倍率=有利子負債÷営業キャッシュフロー
最後にインカムゲイン投資家注目の1株配当と増配率。
以前に比べ増配率が落ちているとは言え、直近でも7.9%と非常に高いレベルを維持しています。
尚、参考までに過去1年間の株価の推移(青色)を市場平均(ダウ平均:赤色)と比較したチャートは以下のとおり。
残念ながらダウ平均を大きくアンダーパフォームしている状況となっています。
以上見てきましたが、かつてはC型肝炎治療薬の爆発的なヒットでこの世の春を謳歌していたこの銘柄ですが、現在は売上しかり、営業キャッシュフローマージンしかり、かつての勢いを失っておりある意味停滞状態にあると言えます。
ただ会社として決して手を打っていないわけではない。
現在ギリアドは第2の柱を育てるべく2017年8月にはがん免疫療法の一つである「CAR-T細胞療法」のリーダー企業の1社であるカイトファーマ社を、そして2020年3月にはがん免疫治療薬を開発するフォーティセブン社を買収。
さらに2020年9月にはイミュノメディックス社の買収を発表し、がん治療薬開発に注力中となっています。
もちろん仮に開発が成功したとしても実際にがん治療薬が花開くのは数年先。
ということで、当面の増配のカギは主力のHIV治療薬と2021年通期予想で前期比良くて横ばいか減少、とした新型コロナ治療薬のレムデシビルの動向にあるのでは。
と考えているところです。
(本データを妄信しての投資にあたってはくれぐれも自己責任でお願いいたします。)
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