通信大手のAT&T(T)が現地時間の1月27日に2024年第4四半期決算を発表しました。
まずは決算概要(会計基準ベース)は以下のとおり。
売上は前年同期比で0.9%の増収。
うち主力のモビリティ(通信事業)の売上は前年同期比3.3%の増収となっています。
そして後払い携帯電話契約者数は5G通信規格対応携帯端末と高速光ファイバーゲーブルのデータを組み合わせた割安なプレミアムプランへの旺盛な需要が追い風となったことで48万2000人の純増となり、その伸びは市場予想(ファクトセット)の44万3000件を上回りました。
また解約率も0.85%と第3四半期より上昇(悪化)したものの依然低い水準を保っています。
しかしビジネスワイヤライン(有線通信事業)が10%の減収と足を引っ張った状況は過去3四半期と変わらず。
次に利益ですが、会計基準ベースの1株利益は0.30ドルに対し0.56ドルと86.7%増となっていますが、これは主に前年同四半期における特殊要因によるもの。
特殊要因を除いた調整後1株利益は以下のとおり前年同期と同額の0.54ドルとなっています。
尚、配当の源泉として注目の年間のフリーキャッシュフローは以下のとおり前期の167億ドルに対し176億ドルと5.4%増となり、事前予想の中央値(175億ドル)とほぼ同額となっています。
またアナリスト予想との比較では、以下のとおり売上はほぼ予想値、調整後1株利益は予想を上回りました。
最後に2025年の通期見通しですが、昨年末の投資家説明会で発表したガイダンスを維持し以下のとおりとしています。
EBITDAとは
Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortizationの略で、税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて算出される利益を指します。
国によって金利水準、税率、減価償却方法などが違うため、国際的企業の収益力は一概に比較することはできません。
その点、EBITDAはその違いを最小限に抑えて利益の額を表すことを目的としていますから、国際的な企業、あるいは設備投資が多く減価償却負担の高い企業などの収益力を比較・分析する際にしばしば用いられます。
(SMBC日興証券)
以上、携帯電話の契約者数が予想を上回ったこと、さらに特にこの銘柄の場合投資家にとって重要な指標であり、配当を支える年間フリー・キャッシュフローがほぼ予想値となったことは朗報でしょう。
この銘柄の最近の大きな話題と言えば、昨年12月3日に公表した自社株買いの再開。
具体的には今後3年間で少なくとも200億ドルを配当金支払いに、200億ドルを自社株買いに充てる計画を発表。
AT&Tの取締役会はすでに最初の100億ドルの自社株買いを承認しており、目標値であるEBITDAに対する純負債の比率が約2.5倍に達した時点で自社株買いが開始される予定とのことで、下半期に自社株買いを開始する予定となっています。
また自社株買いは2026年末までに完了させ、2027年には取締役会の承認が得られればさらに100億ドルの自社株買いを実施する予定、としています。
AT&Tは負債削減を優先に2020年第1四半期以降自社株買いを実施していませんでしたので、久しぶりの自社株買い再開となります。
ここ最近の配当の維持(ゼロ増配)は非常に残念ではありますが、株主還元施策の一つである自社株買い再開は何より朗報であり、増配再開に強く期待したいと思います。
ということで、売上〇△、利益〇、フリーキャッシュフロー△、予想△ +自社株買い再開=保有継続
とします。
(増配をどこかに置き忘れた銘柄への投資にあたってはくれぐれも自己責任でお願いいたします。)
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