総合金融サービスを提供するオリックス(8591)に関し、いつも当ブログを温かい目で見て下さっているウィニングチケットさんから以下のような質問を受けました。
オリックスですが2020年3月決算で売上 2,280 営業利益 269 に対して
営業CFがいきなり 1,042
という異常値を発見しました。
2015~19年の平均は
営業利益率 12%
営業CF 19%
に対して
2020年は
営業利益率 12%
営業CF 45% ⇔異常値
でした。
できればお時間あるときに記事で分析いただけると幸いです。
「うーむ、確かにこれは異常。こんなに稼ぐ力の営業キャッシュフローが増加したのなら前期と同額ではなくもっと配当出しても良かったのでは?」
と不満に思いつつも、早速過去の営業キャッシュフローを並べてみることに。
確かにウィニングチケットさんの指摘のとおり前年までほぼ5000億円台だった営業キャッシュフローが2020年3月期は一気に1兆円の大台を超え激増しています。
この結果営業キャッシュフローマージンも指摘のとおりそれまでの20%前後から一気に40%を突破。
「おいおい、オリックスさん、やってくれちゃいましたね。さては新型コロナウィルスに備えて資金温存か~。」
とやや憤りながら決算短信を確認していると謎がとけました。
それがキャッシュ・フローの状況の以下の記載。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に当期首よりリース純投資の回収によるキャッシュ・フローの表示区分が投資活動によるキャッシュ・フローの区分から営業活動によるキャッシュ・フローの区分へと変更となったことにより、前連結会計年度の587,678百万円から当連結会計年度は1,042,466百万円へ資金流入が増加しました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に当期首よりリース純投資の回収によるキャッシュ・フローの表示区分が投資活動によるキャッシュ・フローの区分から営業活動によるキャッシュ・フローの区分へと変更となったことにより、前連結会計年度の873,951百万円から当連結会計年度は1,470,486百万円へ資金流出が増加しました。
これが何を意味するのか?
つまり2020年3月期からキャッシュフロー計算書の表示区分が変更され、これまで投資活動によるキャッシュフローに分類されていた「リース純投資の回収」が営業活動によるキャッシュフローに区分変更となった。
それにより「リース純投資の回収」として計上されていた474,110百万円が営業活動によるキャッシュフローに追加されることとなった。
これにより2020年3月期の営業キャッシュフローが1兆円を超える金額にまで増加した。
というわけです。
要は今まで下にあったものが会計基準変更により上に移動しただけ。
前年比較する場合はこの分を除く必要があるわけで、これを除くと568,356百万円となり、前期とほぼ同額となります。
つまり実力的にはほぼ変わっていなかった。
ということで今回の件で再認識したこと。
それは、
(損益計算書と違って)お化粧がきかないキャッシュフローとて万能ではない。
という事実。
特に会計基準変更時には十分な注意が必要です。
以上、ご参考まで。(ウィニングチケットさん、ネタの提供ありがとうございました!(笑))
(営業キャッシュフローの増加を妄信しての投資にあたってはくれぐれも自己責任でお願いいたします。)
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こんばんは。
さっそく分析いただきましてありがとうございます。
なるほどなるほど、会計基準変更により
異常値が出ていたのですね
(損益計算書と違って)お化粧がきかないキャッシュフローとて万能ではない。
うーむ、ルールがかわると時系列での比較が
おかしくなりますね。
今回はおかげさまで勉強になりました←(>▽<)ノ
ウィニングチケットさん
おはようございます。
多少なりともお役に立てればこれにまさる喜びはありません。