現地時間の12月13日、製薬大手のファイザー(PFE)がバイオ医薬品企業のアリーナ・ファーマシューティカルズを約67億ドル(約7600億円)で買収すると発表しました。
奇しくも発表前日の以下の記事で「もしかしたら近々大型買収の発表があるかも。」と、潤沢なキャッシュを増配に振り向けなかったこの銘柄の買収の可能性を示唆したばかりでしたが、まさにそのとおりとなりました。
(って普通はそう考えるか、、、)
今回の買収の目的ですが、ずばりアフターコロナへの対応。
現在新型コロナワクチン販売とまもなく承認されるであろうコロナ治療薬で絶好調のこの銘柄ですが、この業界はいつまでも安泰でいられるわけではない。
例えば現在急速に感染が拡大しているオミクロン株が重症化するリスクが極めて少ないウィルスであり、オミクロンに置き換わることになれば、治療薬の売上見通しに影を落とすことになる。
それどころか長い目で見れば過去のいわゆるはやり病も数年で終息することは歴史が証明している。
今回買収予定のアリーナですが、潰瘍性大腸炎等の消化器系の難病治療薬やクローン病、アトピー性皮膚炎、脱毛症など複数の新薬候補を持つ銘柄であり、新型コロナとは異なる分野を取り扱う企業。
報道では今回の買収によってクローンの免疫炎症性疾患の治験薬は2025年から2030年にかけて重要な売上候補になり得るとのこと。
つまりファイザーはコロナ後を見据え、将来の収益多角化に向け着々と布石を打っているということ。
それが証拠に、今年11月には、血液がんの免疫治療薬候補を持つ米トリリウム・セラピューティクスを約23億ドルで買収している。
これら矢継ぎ早の買収ができるのも潤沢な資金があってこそ。
短期的に見れば来年2022年も新型コロナの感染は収まることはないでしょう。
となれば、ファイザーは積み上がるキャッシュで更なる買収を行うことが可能となる。
そして多岐にわたる製品強化が可能となる。
ということでホルダーにとっては誠に心強い話なのですが当方の心中は複雑。
なぜならこの銘柄はバイオ医薬品企業として舵を切ることで株主還元よりも将来の成長に資金を投じる企業へと変身してしまったから。
恐らくですが今後も毎年の増配は今回のように四半期ベースで1セント、年間4セントのいわゆるほふく前進&逓減増配となることでしょう。
一方で株価の方は以前とは違い、今年のような上昇を期待できる可能性が高まる。
投資家としてこれはこれでうれしくないはずがないのですが、長年インカムゲインありきの投資を続けて来た身としては、
”居心地の悪さ”
を感じざるを得ません。
(配当重視から成長路線へと舵を切った銘柄への投資にあたってはくれぐれも自己責任でお願いいたします。)
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