銘柄研究

営業キャッシュフローマージン 日米対決編 コカ・コーラ vs サントリー 2024年版

PERしかり、配当利回りしかり、インカムゲイン投資家にとって株式を購入する際の重要な指標はいろいろあるわけですが、当方が重視しているのが営業キャッシュフローマージン。

営業キャッシュフローマージンとは

企業がどれほど効率的にキャッシュを稼いだかを示す指標であり、営業活動の結果として売上がどのくらいの営業キャッシュフローを生み出したかを表している。

計算式は、営業キャッシュフロー÷売上高で表される。

PL(損益計算書)上の利益はお化粧が可能だが、営業キャッシュフローは資金の入出金であり、会計基準・会計方針等の影響を受けないいわばごまかしのきかない数字である。

従って同業他社を比較する際にも有用である。

ということで今回は以前から行っている飲料事業銘柄の営業キャッシュフローマージン比較をアップデートすることにしました。

比較したのは日米を代表する飲料銘柄の以下2銘柄。

・コカ・コーラ(KO)

・サントリー食品インターナショナル(2587)

【特色】サントリーHDの中核子会社。国内飲料2位。欧州、東南ア、オセアニア中心に海外展開積極的

【連結事業】飲料・食品100【海外】57 <24・12>

【横ばい圏】海外は東南アジアの健康食品が販促効き増勢。豪州は好採算のチューハイ発売が寄与。欧州も回復基調。だが、国内は値上げ影響で数量苦戦。原材料高や人件費増重い。営業益足踏み。為替差益減る。

【ベトナム】ロンアン省の新工場は10月に建設完了予定。供給能力増強し手薄な北部地域の需要喚起へ。数量減少続く『BOSS』は茶系フレーバー強化で再成長図る。

【業種】 飲料 時価総額順位 3/21社(会社四季報より)

コカ・コーラの方はもう説明の必要はないと思いますが、サントリー食品インターナショナル(※以下サントリーと言う)はサントリーホールディングスの中核子会社。

その名のとおり欧州、東南アジア、オセアニア中心に海外展開に積極的であることが知られており、売上収益は1兆円をゆうに超えています。

ということで、その比較結果がこちら。

上記は2020年以降の営業キャッシュフローマージンとなりますが、大きな変化が。

直近2024年でサントリーが前年度の9.9%から11.4%に増加したのに対し、これまで25%以上をキープしていたコカ・コーラ(グレー)が14.5%となんと約10%も数字を落としているではありませんか。

これは一体どういうことなのか?

と思われるかもしれませんが、一言で言えば特殊要因

具体的には米国内国歳入庁(IRS - 米国税局)との訴訟。現在コカ・コーラは移転価格税制に関しIRSと訴訟中となっているわけですが、IRSに60億ドルもの預託金(IRS税務訴訟預託金)を支払ったことで営今回営業キャッシュフローが大幅に減少したことでマージンが大幅に悪化したというわけです。

もちろん今回の調査対象年度以降の年度、すなわち2010年以降の年度分についても修正申告しなければならない可能性がある点、すなわちさらなる巨額支払いが発生する可能性がある点はリスクとして十分認識しておく必要があるわけですが、いずれにしてもコカ・コーラの稼ぐ力自体が衰えたわけではなく心配する必要はないと考えています。

ちなみに両銘柄の増配率は以下のとおり。

こちらも大きな変化が。

コカ・コーラは2022年以降は4%以上の増配。

一方のサントリーですが、2023年までは増配が2022年に1株当たり78円から80円へと2.6%の増配を実施した1回だけだったのが直近2024年には80円から120円へとなんと50%増配を実施しています。

但し連続増配年数はコカ・コーラの63年に対してサントリーは1年。

63年 vs 1年

勝負あったと言えます。

と書くと、

「いやいや、確かに連続増配で見れば勝負ありかもしれないが、今回サントリーは50%増配を実施しているわけで今後に期待できるのでは?」

という意見が出ようかと思います。

たしかにそれは言えなくもない。

ちなみに以下は配当性向の推移となりますが、コカ・コーラの配当性向が毎期70%を超えているのに対し、サントリーは2022年、2023年と連結配当性向30%以上を目安としたことでそれぞれ約30%の配当性向を実施、そして2024年にはこれを引上げ、連結配当性向40%以上を目安としたことで50%増配を実施しています。

よって今後サントリーが今回のように配当性向を引き上げて行けば(もちろん利益を出すことが前提ですが)、増配継続への道が開けることは確か。

以上見てきましたが、2024年はコカ・コーラが特殊要因によって営業キャッシュフローマージンを大きく落としたものの、決して稼ぐ力自体が衰えたわけではなく、63年連続での増配を継続しているのに対し、サントリーは50%増配を実施したとは言え、まだまだ両社の間には差があると考えています。

P.S.

「確かにサントリーは連続増配はしていないかもしれないけど、少なくとも減配していないわけだから配当利回りが高ければインカムゲイン投資対象として”あり”じゃないの?」

という意見もあろうかと思いますが、現時点(5月23日)の配当利回りは以下のとおりとなっています。

・コカ・コーラ(KO):2.9%

・サントリー食品インターナショナル(2587):2.6%

以上ご参考まで。

(本データのみに基づく投資にあたってはくれぐれも自己責任でお願いいたします。)

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